フラットトラックとは


 アメリカで古くからあるベーシックなレースで、「オーバル」と呼ばれる楕円のコースを左周りに走る事を基本とし、「フロントブレーキの無い車輌」で行われています。


 トラックは1周約400mのショート(クォーター)、800mのハーフマイル、1,600mのマイル、そして右コーナー&ジャンプを合わせたTT(このレース時のみフロントブレーキ装備)と言う4種目があります。


 全米のトップカテゴリーではこの4種目を年間合計20戦ほどしてグランドナショナルチャンピオンを争っています。そして全米のどんな小さな町にもある「フェアグラウンド」には必ずダートオーバルトラックがあり、ローカルレースは毎週末、至る所で無数に行われています。


 マイルレース(1周1,600m)でのトップスピードは軽く230km/hを超えます!


 土の上でもスリップストリームが効くほどのハイスピードオーバルの中を、フロントブレーキが無い車輌だからこそ可能な超接近戦を全米トップライダー達は、毎戦披露し観客を楽しませています。

 1980年代、ロードレースで世界を席巻したK・ロバーツ、F・スペンサー、E・ローソンなどの後の世界チャンピオン達は全てこのフラットトラックレースの出身です。当時の電子制御の無いモンスターマシンのハイパワーは、タイヤのグリップを大幅に上回ってしまう為、速く走らせるにはこのライディングスキルを持っていないと表彰台争いをすることすら困難な時代でした。


 テクノロジーの発達した今日の電子制御されたmotoGPマシンでも「レースにおいては限界を超えて走る」と言う性質上、V・ロッシ、M・マルケスをはじめとするほぼ全てのmotoGPライダーがトレーニングに取り入れています。そして各カテゴリーのシーズンオフとなる11月~1月にはここ数年ヨーロッパ、オーストラリア、そして本家アメリカでもフラットトラックの「世界一決定戦」を開催。世界的に大きな注目を浴びるカテゴリーへと成長しつつあります。


 1950年代から今日に至るまでほとんど変わらないスタイルで走り続けているとてもコンペティティブなレーシング。一見単純に見えるオーバルレーシングだからこそライディングの基本中の基本を磨き続けなければいけないレーシングスタイル。それがフラットトラックレーシングです。